六月も今日が最終日。
あの悪夢の入院手術から丸三ヶ月が経った。

退院当初、七月からは本格的トレーニングに入れると豪語した自分だが、その見通しの甘さに消沈すると同時に、それでも少しずつ休むことなく回復している嬉しさを実感している。

気にすることもなく、何の疑いもなく、自分と同体だと思い込んでいたものが、ある日突然、その存在感を主張し、言いようのない違和感を放ち、ついには牙をむくことがある。
今回のアクシデントはまさにそういう表現に尽きる。
己の右足に起こった障害は、自分の不注意の結果だとはわかっていても、この人生そこまでのダメージをもってしっぺ返しを食らうほどの瑕疵はなかったと思いたい。

そんな男のだらしなさを、神様は少しばかり斟酌くださったか。
梅雨の晴れ間のジョギング!
あれほど言いなりになることを拒否していた右足が、もう片方に合わせることを望んでいるがごとく、精一杯動こうとしている。
そういう右足の意思を感じたのだ。

五体は、己が統治しているものだと信じていた。
いつでもどこでも、言い成りになると。
しかしそれは違った。

その存在に気付き、感謝し、いたわり、尚且つ行動する。
その想いが伝わったからこそ、俺の右足は俺に帰ってきてくれた。
これは、人生そのものかもしれない。

そんなことを感じながら何か暖かいものを胸に、6kmのジョギングを歩くことなく完走した日であった。