岐阜市商工会議所の北となりに位置する、イタリアン＆ワインの店BAITS！
この店がオープンして10年以上になると思っていたが、マスターの話では7年ということらしい。
その前は、かの「ぶらっ菜」が同じスタイルで営業していたが、21年前に心機一転 玉宮に移転し、
その名も「ぶらっ菜 本店」と改めて大衆居酒屋を始めた経緯がある。
その「ぶらっ菜」には、３０年近く前から通っていたが、ほとんどを柳ヶ瀬での飲み会を終えた最後の〆として利用していた。
それが突然移転し、10時閉店の居酒屋となった時には、俺の遊び場をどうしてくれるのかと、食ってかかった覚えがある。
最近はいわゆる柳ヶ瀬遊びから遠ざかっている小生であるが、それでも友人からのまたの誘いは嬉しいものだ。
仕事仲間と飲むのは苦手な質だが、今日のメンバーは例外中の例外、話が弾み、酒も進む。
二次会まで付き合い、別れを告げた。
そんなとき、一人酔に任せて、古巣に戻るかのごとくつい足が向いてしまうのが「BAITS」である。
ここのマスター、なかなかのイケメンだ。
その人柄を一言で表現するなら「寡黙」が一番相応しかろう。誤解のないように補足するが、余分なことを言わないという意味である。
ある種取っ付き難さは否めないが、時折見せる笑顔がなんとも可愛い。
おまけに独身ときているから、さぞかし・・・。
店内はよく手入れされており、長いカウンターの上には、ホコリひとつ見当たらない。
棚に並べられた沢山のグラスは、曇りなく磨き上げられライトの光を虹色に反射し輝いている。
料理の腕も中々のもの。裏切られた想いは一度もない。
日付も変わり、〆のひと時、肴に迷ったらお勧めに従えば間違いはないが、今宵はビールにハムを合わせてみた。
この店の こんな時間を、幾度過ごしたことだろう。
過ぎ去った日の記憶を辿れば、不覚にも胸がざわつく。
少しの時間が流れたのち、店のドアーが押され、半身を覗かせて到着を告げる声がした。
いつもの運転手さんだ。
何も言わなくても、ちゃんと家まで送り届けてくれるありがたいタクシー。
いつもの人がいつものようにいてくれることの幸せを、ふと思った夜だった。
