ヤナの季節だ!
この辺りでヤナといえば、揖斐や洞戸、関や郡上、美濃方面が有名処か。

楽しいことをいっぱいやろう宣言をした小生の選択は、ズバリ琵琶湖!
とはいえ、行き付けの居酒屋のご亭主に薦められてのことではあるが。
スタッフ慰安行事と位置づけ、いざ近江。

1473686840567147368704643614736870571041473686833094琵琶湖周回道路を少し入った田園地帯の草むらに、隠れるように佇むひなびた古民家を利用したお店である。
頼りのナビに目を凝らすも、進入道路を見落としてしまうような立地だ。
店内は昔の百姓家そのもので、玄関から延びる土間に面して座敷が並び、分厚い板戸で仕切られている。
畳の部屋には低いテーブルが配されているが、掘り炬燵式で足が下ろせ、24時間椅子の生活がしみ込んだ我が身には嬉しい限りである。

さてこのお店、近くを流れる川の上流に自前の大きな養殖場を持つ。
147369497987814736949907831473686904264直前に水揚げされ串を打たれた鮎は、今にも跳ねようと皿の上で身を震わせている。
活きが良いと捉えるか、残酷と捉えるかは意見が分かれるところかもしれない。
その鮎をテーブルに備えられたグリルで焼くのだが、火の具合が実に良い。
遠火の強火でじっくり焼き上げるのがコツだ。
活け鮎を焼くと鰭がピンと立つと言われるが、確かにその通りで、いかにも美味そうな焼き上がりとなった。
当然、手掴みで頭から頬張るのが通の食い方、ワタの風味と絡んで鮎の旨味が口に広がり、香りが鼻に抜ける。
養殖と侮るなかれ、子供の頃から天然鮎は飽きるほど食べてきた小生にも、納得の出来栄えである。

1473686990743147368694638814736868863851473686892868基本コースには、この他にも定番の料理が出されるが、びわますの刺身は絶品であった。
コース以外に、居酒屋店主のイチオシが「せごし」だ。
鮎を丸ごと小口にスライスした刺身だが、身の甘味と背骨のコリコリした歯触りが心地よいハーモニーを奏でる。
一般的には酢味噌で味わうが、わさび醤油でも良かろう。

〆はやっぱり鮎雑炊。
14736868727961473686786393出汁身の他に、一匹丸々の身が乗った贅沢な演出が映える。
嫌味のない素朴な味わいは、田舎風で好感が持てた。

1473686827044 1473686815486 店を後にして、黒壁スクエアーに。
様々な店舗が立ち並ぶ通りが縦横に延びる。
ここは昨年ロータリークラブの観桜旅行で立ち寄ったこともあり、勝手は分かってはいたが、それでも楽しく散策できた。

鮎料理で苦しい腹を抱え、名物の菓子類にも興味が湧かない。
因果な商売で、夕方には診療予約も控えている。
それに歩き疲れと人酔いも手伝い、切り上げの頃合と見定めた。

高速を使えば1時間足らずで来られる。
今度は祭りに合わせるのもいいだろう、山車が繰り出す盛大なものらしい。

そろそろ蕎麦の花が満開を迎える頃だ。
信州の蕎麦畑の絵が浮かぶ。
新蕎麦を食いに行くのもいいじゃないか…。
そんなことを考えながら、オートドライブで勝手に走る車の窓を、ゆったりと流れる景色に身を委ね、無意識にハンドルを操る帰路であった。