1461743322476毎週火曜日は、ロータリークラブの例会だ。
昼食を挟んだ正味一時間の集いである。
しかし毎週食事を共にする仲間なんて、他にはない。
入会から二十数年を経た今、それが当たり前になり、欠席した週は何となく物足りなさを感じてしまう。

一時期七十名を数えた会員も、時代の流れか減少を続け今では三十数名。
寂しいといえばそうに違いないのだろうが、よくよく考えれば残るべくして残った仲間ともいえるだろう。
その中でも、やはり特別な人はいる。

小生も、過去に何度か人生を左右するような出来事に遭遇してきた。
自分では平静を装っているつもりでも、ある人の目だけは誤魔化せない。
まるで心の中を見透かされているように、必要かつ十分な言葉だけを投げかけてくださる。
時にグサリと杭を打ち込まれ、時にじんわりと心を温めてくれる。

今回の入院手術で、二回連続で例会を欠席したが、ようやく杖を頼りに出かけることができた。
誰もが暖かい言葉で迎えてくれる。
そんな中、かの人の言葉は違った。
「おい、そんな焦らんでいいんじゃないか…」
それだけだった。
しかし不思議なことに、素っ気ないともいえるその言葉が、後から後から繰り返し浮かんでくる。
その度に、心がジーンとしてくるのだ。

強がりとは裏腹に不安と焦燥を抱え、持て余し始めていた男の心の奥を、一瞬に見抜く。
そして心憎いコメントをさりげなく投げかけることのできる人なのである。

そうだ、焦っても仕方ない、幸い、必ず治る怪我なのだ。
むしろ幸運だったと思おう…。
みるみる気持ちが楽になっていく。
いつも見守ってくれている誰かの存在。
その有難さに、胸が熱くなる。

そんな、最も敬愛する存在が、
最も怖い存在であると感じさせることも、本物の証明なのだろう。
死ぬまで頭の上がらない人なのだ。